■■■ 山崎光夫氏からのメッセージ ■■■
◆貝原益軒と私◆
貝原益軒(1630〜1714)は、江戸・元禄期に黒田藩(現・福岡県)に仕えた、儒学、医学、博物学、歴史、文学など百科全書的な幅広い教養を身につけた賢人です。98部247巻に及ぶ膨大な著作物を残し、今から300年以上も前ながら、85歳の健康長寿を得ました。
わたしは貝原益軒を研究するうち、敬愛して、「益軒さん」と親しみをこめて呼ぶようになりました。
益軒さんといえば、『養生訓』。『養生訓』といえば、益軒さん、といわれるように、健康啓蒙書『養生訓』は、江戸時代から今なお読み継がれています。
◆益軒愛用酒復元の糸口◆
その『養生訓』に、 「酒は天のびろく美禄なり」の一節があります。
酒は天から授けられたうるわしい俸禄(褒美)であるとして、少し飲めば気分をよくし健康上きわめて有益である、と酒をすすめています。一方、別の段で、南蛮酒のような強い酒は控えよと戒めています。では一体、益軒さんはどんな酒を飲んでいたのか。これがわたしの長い間解けなかった疑問でした。
ところが、『老いてますます楽し―貝原益軒の極意』(新潮社)を執筆しているときに益軒さんが残した記録のなかに愛用酒の作り方を発見したのです。益軒さんはこの酒を、病気を治すというより、日ごろの養生の一環として楽しみのために飲んだと思われます。このたび、益軒さんが愛用した酒とほぼ同じものが復元できました。
益軒愛用酒『養生訓』において、貝原家ほか多数のご協力をいただき、いま、創業寛政二年(1790)の老舗の造り酒屋・勝屋酒造に縁あって復元できたことは喜びに耐えません。しかも、益軒さんの生まれ故郷の福岡の酒屋から世に出すことができました。
◆貝原益軒の酒『養生訓』の楽しみ方◆
普通の日本酒と同様、熱燗のほか、お湯割り、水割りは自由。オンザロック、炭酸割りも好み次第。また、紅茶、コーヒーに注いで自分流に楽しむ方法もあります。
なお、この『養生訓』は薬用酒ではありません。もっぱら、味わい楽しむためのお酒です。自然の材料だけを用いていますが、まれにアレルギー的な症状がでる場合もあります。念のため少量から飲み始め、体に合わないときは飲用を止めてください。
益軒さんは記しています。
「酒は半酔に飲めば長生の薬となる」ほどほどにたしなむ飲み方をすすめています。
江戸時代の賢人・貝原益軒に思いを馳せながら、『養生訓』の適量を好みの場所で好きな時間にお楽しみください。
平成21年6月吉日
山崎光夫氏
昭和22年福井県生まれ。早稲田大学卒業。雑誌記者などを経て、小説家となる。特に医療関係については造詣が深く、このテーマを中心とした著作が多い。貝原益軒については『老いてますます楽し−貝原益軒の極意−』がある。
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