お酒にまつわるためになる話

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VOL13 楢の露酒蔵レポート

昨年11月1日より蔵入りし、3月15日までの4ヵ月半で19本のタンクに仕込み、54.6kl(303石)の清酒を製成致しました。宗像で残った数少ない、ささやかな地酒メーカーでありますが、本レポートは毎年の酒つくりの実際をお客様にお伝えし、酒蔵をより身近なものとして日本のお酒をご愛顧いただくために取りまとめております。

今年の酒造り全般を振り返ってみると
1.
製造石数が大きく減った(昨年は392石)。しかしお客様に清酒の多様性は知っていただきたいが為に、小さな仕込みを多くして対応した。
2.
熱帯夜の多かった夏の影響か、総体的にお米のできは良くなく、酒にとっての米のウェイトの大きさを改めて痛感した。難しかった浸漬(白米水分)管理だったが、他の蔵に比べ影響はそれほど大きくはなく、仕込水である城山水のパワーを逆に感じたりもした。
3.
今年から蔵元杜氏の体制に切替えた。サラリーマンから転進してまだ5年ではあったが、細かな改善も積み重ねてきていたので見通しは持っていたが、新たに2名の新人を加え、ベテランの勘によらない酒造りが急務の課題であった。
そのため(1)白米水分計の導入(2)仕込みスケジュールの変更(3)釜場の環境改善、高温糖化酒母仕込方法の改善を実施した。
特に(2)は従来の半仕舞(2日に1本のペースで連続的に仕込む、週3.5本)から週1日の休日を入れ、週2本のペースに変更するもの。麹のつくり置き・冷蔵などの対応を含むものであったが、まだ馴れない蔵人に丁寧な仕込を教え込む、とりわけ本年のむつかしい米に対応する上で最大の武器になったと思っている。次の作業がどんどん押してくる半仕舞ではとても微調整などの手間はかけられない。
最終的に「新米杜氏」として感じたことは、@清酒の品質は造り手の技術レベルが上限になること。我々は蒸米を扱うプロにならねばならない。均一の蒸米ができればそれに越したことはないが、同じように蒸しても毎日それは変わるものである。吸水の微妙な差、温度による感触の変化、それらをつかみ切り、多少のブレがあっても扱いきる指の動き、手の力加減をマスターせねば・・・
A温暖化は避けられぬ途である。今年は冷えてよかったと言われている。しかし本当の冬ではない。暖かくなるとすぐ寒気が来てくれたので酒に影響がなかっただけである。幸い5年かけて蔵人がやっと安定しそうである。この人たちで来年はさらに技術を磨き、続けられるうちは美味しい酒を世に出して行きたい。
杜氏
川嶋利之 54才
昨年までの数々の失敗や冒険から、掴み切ったと思っていた清酒の世界であるが、まだ見えていないと反省しきり
蔵人
綱分道一 29才
宮若の農家を背負う青年。お米がどう酒になるかの関心から4年。持ち前の冷静な判断力と段取りで全体の作業を指揮。立派な蔵一さん。
 
山田喜平 63才
昨年からのメンバー。尺八、竹細工と多彩な趣味を誇る。醪にモーツァルトを聞かせてくれた。
  稲津成美 28才 昨年7月某大手自動車会社を辞めて、入社。それもわざわざ小さな蔵がいいという変わり者。
初めての蔵仕事にめげず大きく育ってほしい。
  木村義美 49才 上西郷で電子水を活用した農業を営む新メンバー。生き物を扱う点では共通するも、違う分野で戸惑いや苦労もあったと思われる。
 
本年のお酒の特徴は次の通り(データは15度換算推定値)
区分
原料米
日 本
酒 度
酸度
アミノ
酸度
特  徴
純米
大吟醸
山田錦
(糸島産)
40%精白
6
1.3
0.9
協会901号酵母
辛口の吟醸も面白いのではと挑戦してみました。
大吟醸
山田錦
(糸島産)
40%精白
5.5
1.3
0.7
協会901号酵母
勝屋らしくないあっさり味。柔らかな飲み口
特別純米酒
山田錦
(宗像産)
60%精白
4.5
1.4
1
協会901号酵母
お米の旨味を十分引き出せた。他に甘口(-2.5)のヒノヒカリも
純米酒
夢一献
(県内産)
65%精白
4.5
1.5
1.5
協会701号酵母
今年は温度管理に力。年々酒質は向上している。
特別本醸造
山田錦
(糸島産)
60%精白
4
1.4
1
協会901号酵母
低温長期熟成。すっきり切れ味良い仕上がり
本醸造
夢一献
加工用米
70%精白
2.5
1.4
1.5
協会701号酵母
勝屋のテーマである「味わい豊か」に仕上がった。
上撰
夢一献
加工用米
3
1.2
1.2
旨味と飲みあきしないを両立。今年も宗像のスタンダードに
佳撰
夢一献
加工用米
3
1.1
1.1
増醸タイプ。抑えた糖の添加で、逆に飲みやすさを出している

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